近鉄百貨店跡にできる新商業施設を手がける株式会社ソウ・ツーにどんな施設をつくるのか聞いてきた

近鉄百貨店跡

現在解体工事が行われている枚方市駅前の近鉄百貨店跡地。

枚方市駅前新商業施設02
現場の仮囲いには新たに建設される新商業施設の完成予想イメージがたくさん貼りだされています

しかし外観だけでなく、「どんな内容の施設ができるのか」も皆さんとても気になってると思います。そこで新商業施設を手がける株式会社ソウ・ツー(代官山T-SITEも手がけたTSUTAYAの関係会社です)におじゃまして、今のところ言える範囲でのお話を伺ってきました!

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株式会社ソウ・ツーの長田(おさだ)さん。いろんな質問に気さくに応じていただきました。

では早速インタビュー内容へとまいります!どうぞー!!


◇仮囲いデザインの意図

(ミロコマチコさんや小学生の絵が掲載された理由)

- 発表されてから反響はどうですか?

問い合わせはありますが、いろいろな声も聞いています。「家電量販店になるの?」「映画館できるの?」「タワーマンション?」というような(笑)。プレスリリースを行いましたが、充分に内容を伝えきれていない部分もあり、対応の必要性を感じています。

そのようなこともあり、新施設計画地に設置している仮囲いに完成イメージのデザインを予定しました。計画地の前を通った人にはマンションやよくあるような商業施設ができるのではないと分かってもらえると思っています。

施設オープンまでみなさん待ち遠しいと思いますが、それまでの期間、仮囲いを有効的にデザインして賑わい演出できればと考えています。工事期間中、安全対策により仮囲いを設置しますが、従来のものだと殺風景なものや、景観を損なっているものが多いですからね。そこで今回エリアを大きく2つに分けデザインすることにしています。「新施設のメッセージエリア」と「地域交流のエリア」です。

- 2つのエリアの特徴は?
 
新施設のメッセージエリアについては、パースと言葉により新施設で何をしようとしているのかを知ってもらい、新施設への期待感を高めてもらいたいというのが大きな目的です。地域交流のエリアについては、アートの要素も取り入れながら地域の方々と一緒に取り組み、参加してもらいながら、周辺の方々と共生するというのがこのエリアの目的です。
 

- 参加してもらうとは?

公園側については地域の小学校の方の絵を掲載する予定です。(ひらつー注:このインタビューは外囲いに絵が掲載される前に行いました)
なぜ絵を掲載するかというと、そこに絵を描いてくれた子どもたちに「愛着」を持ってもらいたいという想いを強くもっているからです。掲載している時に見に来てもらいたいということもありますが、建物が竣工すれば、掲載は終了となり見ることはできなくなります。そうではなく、建物が出来上がった後も、「昔この施設が建築中、ここに私の描いた絵が掲載されていたんだよね」と記憶に残してもらいたい、その人の記憶の一部になりたいと思っています。自分の描いた絵が掲載されていたということで施設に対する愛着が大きく違ってくると思っているんですよ。

もう一つのサンプラザホテル側については、プロの方と一緒に取り組もうと思っています。表現力豊かですぐれた才能をもつプロの方が描かれた作品を掲載して賑わいのある楽しいストリートを形成したいと考えました。ただプロの方なら誰でもいいという訳ではなく、地域の方々と共に取り組みたい、私達と一緒に参加してもらいたい、というのがこのエリアの目的なので、今回、枚方出身の絵本作家の方にお任せすることにしました。
 

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掲出された絵。詳しくはこちらの記事で。

- もしかしてミロコマチコさんですか?

そうです!
ミロコマチコさんとコンタクトを取り、私たちの東京の事務所でとお会いして「こういう新しいプロジェクトをしようとしています」とお話ししたところ、ミロコマチコさんも近鉄百貨店があった時にはよく行っていたそうで、それが閉鎖して活気を失っている今の状況を非常に残念に思っているようで、すごく共鳴して頂きました。「私も協力していいですよ」ということで、作品を提供して頂けることになりました。

そういうことで、東面はプロの枚方出身の絵本作家のミロコマチコさんに描いてもらって、南面は子どもたちが愛着をもてるように参加して頂いて、ロータリー側については今後何ができるかというメッセージを発信していきたいということで、デザインさせてもらっています。
 

- 小学生に書いてもらう絵はテーマを決めて描いてもらったんですか?

テーマは今回自由にしています。テーマをつくろうかと思ったんですけど、こっちからあえて何か決めるのではなくて、小学生のほうで自由に描いてください、お子さんの個性を自由に表現してくださいと。愛着をもってもらうというところが一番のテーマなので、思う存分描いてください、ということにしています。

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- 確かにこれは思い出になるでしょうね。

そうですね。施設がオープンするのは2016年なので、そのとき小学生のままの方もいますし、中学生になっている方もいますが、思い出に強く残るかなと思います。
また、将来、大人になって友人同士でお酒でも飲んでいるときに、「実は小学校の時ね、この施設ができる前に私の絵が掲載されていたんだ」というような話をして、盛り上がってもらえればうれしいですね(笑)
 

- ありそうですね(笑)
- イラストは期間によって変えていくんですか?

期間によって変えていこうかなと思ってはいますが、まだ具体的にどうなるかは分かりません。
というのも実は設置するのにも結構お金がかかるんですよ(笑)
 

◇新商業施設でいま決まっていることは?

- 建物が2016年にオープンした後も、地元の人たちが参加できるようなことはするんですか?

具体的にはこれから考えてゆきますが、イベントを定期的に計画してゆきたいと思っています。

- 近隣の方が参加できるような?

もちろん。近隣もありますし、広域にも集客をしていきたいと思っています。
 

- 例えば、ミュージシャンがきて演奏するというのも…?

それもありですよ。
 

- 例えば、みんな集まって料理つくるような習いごともできたりとか…

そうですね。スペースに限りがあるので、大掛かりなステージを用意してそこで何かをやってもらうというのはないですが、空間を上手く活用して、そこでイベントを開催するという形はあると思います。
 

- 今回の商業施設がターゲットとする対象年齢はあるんですか?

今回計画の指針となる施設が東京にある代官山T-SITE(→公式サイト)ですが、年齢層のターゲットでいうと、すべての年齢層です。いわゆるマルチクラスターで、全年齢層を対象にしていく形になると思います。別の言い方をすると、プレミア世代とプレミア世代の過ごし方に憧れを持っている人たちをターゲットにしてライフスタイルを提案してゆきたいと考えています。実際、代官山T-SITEもプレミア世代だけでなく若い方が結構多く来られています。

- 確かに僕がこの前行ってみると若い方がいっぱいいました。代官山T-SITEにあるファミマやスターバックスのようなお店はまだ具体的にはきまっていないんですか?

機能としては入れていこうと思ってますが、具体的にどこのテナントかなどはまだ決まっていません。
 

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◇本を軸に、街のランドマークになりたい

- 「現在もうすでに決まっている、決定事項」ということはあるんですか?

施設のコンセプトとしては、「本を軸とした商業施設」これが大前提です。また「街のランドマーク」これは普通の商業施設によくあるような建物じゃなくて、パースにもあるようなシンボルになるような建物にしたいと思っています。

今回計画につきまして、いろいろアンケートを取りました。街頭形式のアンケートも行いましたが、相手に事情を説明してあらかじめ時間を取ってもらい、じっくりとお話を聞かせてもらう会話形式でも実施しています。本音で話してほしいと強くお願いして実施しましたが、実際、枚方市駅周辺についてと聞くとマイナス意見が多かったですね。「ロータリーにバスとタクシーがひしめく場所」「とにかく建物の老朽化が目立つ」とか。
でもお話をさせてもらった方に、「では枚方は好きですか?」と聞くと全員が「好きです」と即答されていました。「好きなんだけどこの状況が悲しい」「好きだからよくなってもらいたい」「好きだから変わってほしい」という答えが返ってきたんですよ。

駅を降りて一番最初に目にする風景はその街の顔になると思います。枚方市駅では、やはりこの場所になるのではないかと思います。そこに普通によくあるような外観の建物があっても、「それで?」といった反応になると思います。そうじゃなくて、駅を出た瞬間に一目見てハッと驚くような、かっこいいと思えるようなものがあれば、印象が大きく変わると思うんですよ。そのような意味で、枚方の方が誇れるようなシンボリックなものにしたいと考えています。そして枚方に帰ってくる人・枚方に来られる人、そのような方々を玄関でしっかりとお出迎えできればと思いますね。

- それがあの完成イメージのイラストですね 

最終的に完全にあのようになるかはまだ未定ですが、目指しています。
あのデザインはというと、建物全体に本棚をイメージしました。ガラス越しにルーバー(木の縦の遮光板)もありよりイメージしやすいと思います。全体が本棚で、いくつか四角いボックスが設置されていますが、あれは「本棚から情報が飛びだしている」ところをイメージしているんですね。そしてガラス面を多く使い開放感や透明感、つまり情報をクリアにお伝えするという意味です。

- 完成したら本当に今とはガラッと変わりますね。

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- 屋上は出られるようになってるんですか?

その計画です。どのような形で解放するかは未定ですけが、できればこのように枚方の景色を楽しんでもらえるようにしたいなと思っています。この施設を計画するにあたってこだわっているのが、「普通のモノ売りの場にはしたくない」ということです。

「本を軸に」と謳っているのは、じっくりと楽しめる滞在型の店舗を作っていきたいと思っているからです。「商品を買いました、帰ります」というのではなく、本とカフェがあって、本は買っても買わなくてもいいのでゆっくり読んでください、カフェはコーヒーなどを買ってもらって、一日中そこでゆったりとくつろいでくださいという形のお店にしようと思っています。なので椅子や座れるところを多く用意して、ずっと一日中いてもらう、「雰囲気を楽しむ」という施設にしたいと思っています。

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◇ネットには提供できない価値

モノを提供してはいますが、一番提供しているのは空間です。ここで過ごす時間がかっこいいと思える、オシャレだと思ってもらえるようにしたい、そう思えば人ってやってくると考えています。
 

- そうですね。「とりあえずあそこ行こ」ってなりますもんね

実際代官山T-SITEも、オープンする前は周辺に全然人が歩いていない状況でした。それがオープンしてあれだけの人を呼びこむことになったっていうのは、それだけ魅力を感じてもらった、つまり価値を感じてもらったということが大きいと思っています。

ネットで足りるものはネットとなってしまう。今後さらにこの動きは強まっていくと思っています。だからネットには提供できないもの、そこにしかないもの、わざわざ行きたくなる施設、そこで過ごしたいと思える時間を提案してゆければと思っています。

現在本はネットで売れているものの上位にあります。アマゾンでも本がすごく売れている。アマゾンでは在庫もいっぱいあり便利と思うかも知れませんが、今回の施設では、本を売るというより、雰囲気を提供しているんですね。ここで本を手に取って、ここで本を読める。しかも雰囲気のいい、上質な時間が流れる場で本が読める、またそういった空間のなか関連したサービスや商品が生活シーンによって提案されている。つまり本だけを提供しているのではなくて、雰囲気、空間を合わせたライフスタイルを提供している。同じ本を読むならあの空間の中でと思ってもらうようにしたいと考えています。

 

◇枚方市駅周辺の環境について

- 街全体としての取り組みは?

今回の計画地だけでなく、ここから街全体の回遊性を高めていければと思っています。旧近鉄百貨店の時は裏側のほうは非常階段があって、いかにも「裏側」ってイメージがあったと思います。ロータリー側が表で、あちら側が裏、みたいな。そうではなく裏側と言われていた部分も、外観なりを上手く演出して賑わいを創出できればと考えています。そうしないと街全体の回遊が生まれていかないですし、ここだけで終わるともったいないですね。
そうした回遊性を高めていくため、現在、関係者の方々と意見交換を行っています。

 

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◇時代にあった「生活提案」

この施設で一番何がしたいかというと、根本的な考えとして「生活提案」というのがあります。生活提案というのは簡単にいうと、「こういう暮らし方はどうですか、過ごし方はどうですか」というものを提案していきたいということです。
 

- テナントがいくつくらい入るのかというのは…

全く未定ですね。今のところ建築の計画を決めているところです。
 

- 建物の中を決めている段階だと?

そうですね、建築計画を決めていますね。面積は全体でこれくらいしかとれないという限界があるので、その中で各階をどうするのかとかなどを今検討しています。まずそこを決めないと誘致ができないので。
 

- 代官山の場合、外にでることができますよね。

今回屋上という形で外を楽しめます。一つの施設の中で「本」を軸として、そこからいろんなテナントに入れるようになっています。
 

- 全体としての一体感を出すということでしょうか

そうですね。本は情報発信ツールとして集客性が強いので、その集客を他のテナントに送って一体感をだせればと思っています。また、飲食のフロアーに行くと飲食関連の本が全部置いてある、そのようなことも考えています。
 

- テナントと関連の本を組み合わせるということですね

暮らし方や過ごし方の提案をしていきたいというのが第一にありますので。

かっこいいと思ってもらえるライフスタイルを提案したい、暮らし方・過ごし方の手本になるようなものを提案したという観点から、今人々に最も響くものってなんだろうって考えて、今回の計画となっています。

今後計画の変更が出てくるかも知れませんが、生活提案、暮らし方、過ごし方っていう軸はブレることはないと思います。その時代に何が一番人々にとって響くのか、価値を感じてもらえるのかというところで、軸はそのままに形を変えてゆくということになりますね。

 

◇枚方がもつ「ポテンシャル」

- 今の枚方についてどう思いますか?

一言でいうと「もったいない」。
ここに施設を計画したのは、TSUTAYA発祥の地というのもありますが、でもそれだけではなくて、枚方の街にポテンシャルがすごくあると考えたからです。

さっきのアンケートの話でもマイナスの意見が多かったのは事実ですが、実際調べてみると枚方市だけで人口が40万人いて、それが直近5年で増えているんですね。日本全国の人口が減少する中、枚方市は着実に増加しています。また枚方市駅の利用乗降客数約10万人というのは枚方市だけでなく京阪本線の京阪エリアで断トツのNO.1です。乗降客数約4万人が利用するバス停も駅前にあり、すごく利便性もいいです。近隣には国際感覚の優れた学生の多い関西外大や昨年新学舎に移転されたばかりの関西医大などの大学もあり、活気に溢れています。そういったことを考えると非常に魅力のあるマーケットだと思っています。
ただ、それだけのポテンシャルをもっているのに、ポテンシャルのままで終わっている。それは見ていて残念で仕方ありません。しっかりとしたものを提示すればガラッと変わる。可能性は充分秘めている。またそこに期待する人も非常に多い。そういった中、今求められているライフスタイルを提案して、街全体の活性化のきっかけになればと私達は考えています。

 

- 期待して待ちたいと思います。ありがとうございました。


いかがでしたか?

まだ中に入るテナントは決まっていないとのことでしたが、お話を聞いていて「こんな施設がつくりたい」というコンセプトや思いがひしひしと伝わってきました。

オープン予定は2016年なのでまだ先ですが、素晴らしい施設ができることを期待して待ちましょう!

◇関連リンク
株式会社ソウ・ツー 公式サイト

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