枚方市駅周辺は2階でつながる場所に? 関西医科大学が考える枚方市駅周辺の理想形

枚方市駅周辺再整備インタビュー-タイトル
全7回にわたって、枚方市駅周辺再整備について、各関係団体のインタビュー記事をお届けしているシリーズ企画。

第7回目の今回は関西医科大学へうかがい、法人事務局長であり総合企画室長でもある高井理事にお話を聞いてきました。

世界レベルの学会が
枚方で行われる可能性

ー 今回の枚方市駅周辺再整備について、関西医大さんはどのような関わり方をされているのでしょうか?

本学は北大阪商工会議所が主催する枚方市駅周辺活性化協議会の参加団体として、本学理事長、関西医科大学附属病院の病院長、総合企画課長、そして私の4名がメンバーに入っています。

平成25年(2013年)に関西医科大学の本部がこの新町に移ってきたのですが、平成33年の予定で枚方市市民会館の閉館に伴い(仮称)枚方市総合文化芸術センターが、本学の前に建設されるということになりました。

そういったこともあり、枚方市駅周辺再整備の全体計画の中で、関西医科大学も一角を担わせていただいているということだと思います。枚方の計画全体について市からも意見を欲しいという要望もあり、枚方市の関係の方々とも色々と話をさせていただいたり、意見を申し上げています。

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新町にある関西医科大学(画像提供:関西医科大学)

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関西医科大学前に建設予定の(仮称)枚方市総合文化芸術センターのパース図(→詳しくはこちらの記事で

― (仮称)枚方市総合文化芸術センターについては、ひらつーの記事で紹介した時も反響の大きいものでした。

(仮称)枚方市総合文化芸術センターの建設にあたっては、今から6〜7年前に市が「関西医科大学としてはどういう施設が来てほしいか?」というアンケートを取りに来られました。

2013年に関西医科大学の本部がこちらへ来て、それに伴い本学の人間の多くも新たに枚方市民となりました。隣接している関西医科大学附属病院もありますし、枚方市駅周辺がこの辺りも含めてしっかり発展していって欲しいという思いがあったので、アンケートにも協力させていただきました。

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関西医科大学附属病院画像提供:関西医科大学)

― アンケートではどのように回答されたんでしょうか?

総合文化芸術センターができれば、オーケストラのコンサートや有名な歌手や芸能人の方が何日かの公演で来られる際に、枚方市駅周辺には宿泊施設がほとんどないに等しい。

また、本学にとっても全国レベル・世界レベルの学会を総合文化芸術センターの大ホールで開こうと思った時、その後にコンベンション(集会・会議)ができる機能を持ったホテルや建物もないんです。

ですので、そのようなホテル機能のあるセンターがほしいが、そうでないのなら枚方市駅北側にコンベンション機能やホテル機能を有した商業施設を誘致したらどうですか、というアイディアはお伝えしています。

― 世界レベルの学会が枚方で行われるようになるかもしれない、と。
関西医科大-5
(高井理事)

そのためには、全国はもちろん、世界からも人を呼べる場所にしないといけません。

竹内市長の時に、当時枚方にあった6大学が一緒になって、そういった施設を誘致して欲しいとお願いに行ったんですが、なかなか進みませんでした。その後、枚方市活性化協議会ができ、年に数回ある会合の中でもコンベンション機能・ホテル機能を有した施設に関しては提言しています。

理想を言えば、総合文化芸術センターの横にそういった施設が欲しいですが、そこは予算の問題もありますし、高さ制限の問題もありますので、私たちは京阪電車さんが計画されているランドマークとなる高層ビルに期待しています。

― 京阪さんも枚方市活性化協議会のメンバーなので、直接そういう話ができる訳ですね。

そうですね。あと総合文化芸術センターの話でいいますと、現在旧1号線にかかっている歩道橋が本学の情報交流施設という円形の建物につながって、附属病院まで行けるようになっているんですが、そこに新たに総合文化芸術センターまで続くデッキができる予定なんです。これには本学が枚方市に協力しています。

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写真中央あたりが(仮称)枚方市総合文化芸術センターの建設予定地

総合文化センター周辺地図
こちらが(仮称)枚方市総合文化芸術センターの予定図

― 新たな動線が生まれるということですね。

そうですね。そこで枚方市と協力して今後、枚方市駅北側を少しずつ良くしていければと思っています。

将来的には枚方市駅北口から関西医科大学、そして淀川へと続く大きな道ができればと考えています。

これは2006年(平成18年)に病院が来る時に、市とは、枚方市駅から本学を抜けて淀川河川公園まで歩いていけるような道を通しましょう、淀川に向かって北側に伸びる公園のような空間を一緒に築きましょうというようなお話をさせていただきました。

その結果、本学と附属病院の間には淀川河川公園へ抜けるプロムナードが通っているんです。

枚方市駅北側についても今後10年・20年の話ではなく、向こう50年・100年の大きな計画に沿って変えていくべきだと提案をしているところです。

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上空から撮影した関西医科大学と附属病院画像提供:関西医科大学)

好条件のそろっている枚方
さらに良くしていくために

― 再整備に関しての進捗状況はどう感じておられますか?

率直に申し上げて、少しもどかしい部分はあります。

枚方市活性化協議会だけでも6団体がメンバーになっていますが、他にも色々な話し合いの場があるんです。

例えばA・B・Cと話し合いの場がほかにもあって、本学が参加させてもらっている活性化協議会がDとします。するとAで決まったこととBで決まったことが違って、さらにCが違うことを主張しているということもあり得ます。そういったものがあってDの協議会をやっているわけです。

地権者の方々も含めて話し合いをすることは大切ですが、そんな中でもまちづくり全体として長い未来を見据えての考え方は必要であると思います。

― それこそ、50年・100年という視点が大切だと。

そう思います。枚方市の方々が努力されてるのはよくわかりますし、組織再編などもされていると思いますが、やはり最終的には行政がリーダーシップをとって進めていただかないといけないことなので。

ただ、お伝えしておきたいのは批判的に見ているのではなく、本当は本学も枚方市駅周辺の再整備にもっと関わりたいだけなんです。

ですが、私たちは駅から少し離れた北側で市駅周辺の地権者でもないですが、将来的にもこの場所を動かないわけです。今後は福祉もさらに必要になってきますし、私たちのいる場所は教育医療地区としての価値を高めていくことが、枚方市民の皆さんはもちろん、北河内の皆さんにとっての価値だと考えています。

ですので、枚方市駅周辺も統一感をもった都市整備計画をして欲しいという願いをもっています。

― 関西医大さんは枚方市駅北口から巡回バスを出されていますが、距離的には近いですがなぜなんでしょうか?

枚方市駅から本学附属病院までの距離は、条件的にもすごく恵まれているとは思いますが、旧1号線を渡る信号は、1日の歩行者の通行量の割に青信号がすごく短いんです。そして駅からの歩道も通行量の割に狭い。

理想はやはり、枚方市駅の中央改札口からそのまま2階でつながることだと思います。そうすれば本学関係者だけではなく患者さんにとっても非常にプラスになります。

枚方市駅の北口ターミナルから無料巡回バスを走らせるようにしたのは、患者さんに少しでも良い条件で病院まで通っていただきたいという思いからです。待っていただく場所にも屋根付きのバス停を本学が設置して枚方市に寄贈させていただきました。

これは今の枚方市駅周辺の交通状況を見ていると、そうせずにはいられなかったんです。

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枚方市駅北口にある関西医科大学の無料巡回バス停

― 例えばおっしゃってるような枚方市駅の中央改札口から2階で関西医科大学までつながるようなものがあれば、学校はもちろん、病院や総合文化芸術センター、淀川河川公園にも行けるようになると。

その通りです。駅の南側は、枚方市役所や岡東中央公園まで歩道橋で行けるという動線がありますよね。枚方市駅の改札のある2階を歩行者がメインの階層にして、地上を車が走る階層としたまち並みをつくるというのもひとつだと思います。

― 枚方市駅前の理想的な形はどういったものだと考えますか?

将来高齢化していくのは必然ですので、若い人だけを呼ぶのではなく、若い人もお年寄りの方も男女関わらずみんなが集まって来られるような駅周辺というのが望ましい姿だと思いますね。

例えば先ほど申しました宿泊施設にしても、ホテルだけではなく、商業施設もありその上には若い方が住めるようなマンションや一方で高齢者向けの住宅などがあって…というような、年配の方も若い方も一緒に住めるような施設はこれから求められるひとつの形ではないかと思います。

CCRC(Continuing Care Retirement Community)という継続的にケアができる高齢者の皆さんの共同体を作り、例えば関西医科大学附属病院の医師がその施設に常駐し、何かあった時にすぐ対応できるというのも今後の形のひとつかもしれません。

実際に関西医科大学附属病院の健康科学センターの木村センター長(健康科学教室教授)は健康情報を集め、その変化を見て体調の変化を予測するような研究をしています。

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関西医科大学の正門(画像提供:関西医科大学)

高度先進医療と地域医療ケア
40万人都市での両輪の使命

― 40万人の市民がいる枚方市において、関西医科大学に対する市民の方からの期待や使命感などは感じていらっしゃいますか?

本学は京阪沿線の要所要所に病院を持っています。

順番に言いますと天満橋(クリニック)、滝井、香里園、枚方市、そして今度樟葉に回復期の機能をもつ病院ができました。これはリハビリなどを中心にした病院です。

これまで大学病院というのは先進医療が中心だったんです。高度先進医療を行う急性期の患者さんをみるという使命はもちろんあるのですが、退院された方の行き先まで十分に診てきたか、という問題意識をもっていました。

これからの時代は関西医科大学の病院を退院されたあとの施設や暮らしも含め、考えていく必要があると思っています。

関西医科大学香里病院などは訪問看護ステーションも開設しています。今後は北河内において「これからの医療の形を作っていく」という重要なミッションがあると考えています。

常に未来に向けて新しいものにチャレンジしなければいけないですし、教育病院として学生を育てていかなければならない、加えてここ枚方市の中のひとつの病院としては、地域医療ケアも十分に考えなければならないと思っています。

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香里園駅前にある関西医科大学香里病院(画像提供:関西医科大学)

― 市民の方との距離をさらに近づけていきつつ、最先端のこともこれまで通り続ける。どちらの軸も伸ばしていくということですね。

さらに加えるならば、医療・医学の国際化にも貢献していくべきだと考えています。国際的な視点でも研究を進めていくことも必要だと思いますね。

― 先ほどの話にも出ましたが、総合文化芸術センターが完成したら国際的な学会を開いて、世界中から枚方に人が集まって最先端医療の話をすることもあり得ると。

そうですね。そして、今まで例えば出張で枚方に来られた方々は皆さん京都市内か大阪市内のホテルに宿泊していたと思うんです。その方たちが宿泊する場所の選択肢が増えれば、枚方にはもっと人が集まってくると思いますね。

本学で言うと、例えば重度の患者さんが手術などで入院される時のご家族や、遠方から来られている患者さんのご家族が宿泊できる施設があればもっと寄り添ってもらえますし。

枚方市駅周辺が再整備により発展すれば、枚方市そのものがかなり発展するんじゃないかという期待を持っています。

― どこかの団体や企業などに関西医大さんから求めることは何かありますか?

先ほどもお話しましたが、京阪さんが計画されているランドマークとなる高層ビルには期待しています。それに伴い、周辺の地権者さんたちも一緒になっていただければ、枚方市駅周辺の再整備はいい形で進んでいくのではと考えています。

― なるほど。

一方で枚方の中小企業の方々にも本学の知識を提供して技術をお借りするという、いわゆる産学連携も進めています。具体的に例えば骨伝導の補聴器などは形になっています。

枚方市駅周辺が変わっていく中で、関西医科大学は附属病院も含めて重要な役割を担っていきたいと思っています。

(了)

以上、枚方市駅周辺再整備について、関西医科大学の法人事務局長であり総合企画室長でもある高井理事にお話をうかがいました。

枚方市駅周辺再整備に関するインタビューシリーズは今回で最終回となります。

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