
あと5分だった。
9月21日、アウェーで行われた沖縄SV戦。37分、久保田和音のゴールでFCティアモ枚方が先制した。
1-0。
そのまま迎えた85分に同点。
そして、88分に逆転された。
三重で今季初勝利を挙げたティアモだったが、連勝を目指した沖縄で、勝ち点3まであと少しというところから試合をひっくり返された。
1-2。
久保田にとって今シーズン初ゴール。それでも試合後に残ったのは、喜びより悔しさだった。
「点を取れたのは自分としても良かったですけど、それが勝利につながらなかったので悔しいです」
そして、その5日後。
ティアモは枚方へ戻ってきた。
9月26日、雨のたまゆら陸上競技場。
相手はボンズ市原。
沖縄では、試合の「終わり」に2点を失った。
今度は、試合の「始まり」だった。
14分。また追いかける展開に
14分、先にゴールを奪ったのはボンズ市原だった。
0-1。
前節は85分、88分。今節は14分。
久保田は試合後、最近の失点についてこう話した。
「今季開幕してから、やっぱり失点する時間帯が良くないことが多い。試合の始まりと終わりとか、そこは特に集中してやっていかないといけない。どれだけいい内容であっても、その1点で変わってしまう」
沖縄では、終盤の2失点が勝ち点3を勝ち点0に変えた。市原戦では、序盤の失点によって、また1点を追いかけなければならなくなった。
サッカーは90分。
でも、その90分の中にあるほんの数分が、試合を大きく変える。
ティアモはボールを持ちながら前進しようとする。しかし前半は、相手の守備を前になかなか自分たちのリズムをつくれない時間が続いた。
久保田も、「うまくいってなかったですね。ああいう時間もあるとは思うので、なるべく早く自分たちのリズムを持ってこられるようにしないといけない」と振り返った。
0-1のまま、前半を終えた。

「前への推進力でチームを引っ張ろう」
後半、ティアモが少しずつ前へ出る。
55分、背番号27・得能草生がピッチへ入った。得能が考えていたことは、シンプルだった。
「僕が入ったときは0-1で負けていたので、試合に出たら前への推進力でチームを引っ張ろうと思って試合に入りました」
サイドから前へ。得能がボールを運ぶことで、ティアモが相手陣内へ入る回数も増えていく。
それでも、なかなかゴールまでは届かない。
残り10分。80分には、石井稜真がピッチへ送り込まれた。そして、そのわずか1分後だった。
81分、右サイドから得能、原とつなぎ中央へ。反応したのは石井だった。相手より一瞬前に入り込みゴールへ流し込み、ゴールネットを揺らした。
1-1。
投入から、わずか1分だった。三重戦で2ゴールを決め、今季初勝利の立役者となった背番号39が、今度はホームでティアモを敗戦から救った。
雨の中、たまゆら陸上競技場に集まった527人の前で、ようやくスコアが振り出しに戻った。その後も攻めて攻められるも1-1のまま試合終了。ティアモは勝点1を積み上げた。
いい形で終わらせない
しかし、選手たちに「追いつけて良かった」という空気はない。
「今日は何としても勝たないといけない試合で、今週は絶対に勝つために取り組んできた。その中でこの結果なので、正直悔しいです」(石井稜真)
「前節に負けているので、絶対に負けられない試合ということで、みんな気合が入っていた。なんとか引き分けに持っていけたのは良かったですけど、引き分けは最低限だったなという感じです」(得能草生)
負けなかった。
でも、欲しかったのは勝ち点1ではない。
この試合に向けて、ティアモには攻撃面で明確な狙いがあったという。
久保田は、「中盤で相手より人数を多く作って、フリーの選手を見つけてビルドアップしていく。それに相手が食いついてきたら背後を取ることを明確に詰めていった」とこの試合までの積み重ねを口にした。
実際に、そうした形から相手ゴールへ迫る場面もあった。公式記録では、ティアモのシュートは12本。ボンズ市原の11本を上回った。後半だけなら7本のシュートを放っている。
形は、できている。でも。
久保田は、そこに満足していない。
「いい形はできているので、それをいい形で終わるんじゃなくて、ゴール、勝利という結果につなげないとなと思います」
得能も同じだ。
「決めるところを決めるとか、ミスを減らすという当たり前のことを、もっと突き詰めないと勝てない」
派手な答えではない。
特別な何かが足りないわけでもないのかもしれない。
1つのミス。
1つの球際。
1つのシュート。
その「当たり前」をどこまで突き詰められるか。それが、「いい形」を勝ち点3に変える最後の距離なのだろう。
「もうそろそろ、本当に勝たないと」
沖縄で、勝ち点3を目前で逃した。枚方では、先に失点しながら追いついた。2試合で手にした勝点は、1だ。

次は10月4日(日)、アウェイでジェイリースFCと対戦する。
石井は市原戦後、こう話した。
「今日こうやって雨の中でも応援に来てくださる方だったり、配信を見てくれる方のために、もうそろそろ本当に勝たないといけないと思う」。そして、「次の試合では前半から自分たちの形でサッカーできるように頑張ります」と続けた。
沖縄では「終わり」。
市原戦では「始まり」。
次は、90分をどうつなげるのか。
いい形をつくるだけではなく。追いつくだけでもなく。
それを、勝利までつなげられるか。
次に見たいのは、その先だ。
MATCH INFO 第4節|沖縄SV戦 2026年9月21日(月)15:00 KICKOFF 沖縄SV 2-1 FCティアモ枚方 得点:37分 久保田和音 会場:沖縄県総合運動公園陸上競技場 観客数:865人
第5節|ボンズ市原戦 2026年9月26日(土)14:30 KICKOFF FCティアモ枚方 1-1 ボンズ市原 得点:81分 石井稜真 会場:たまゆら陸上競技場(枚方市立陸上競技場) 観客数:527人

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