アフリカの裸族を撮るために自分も裸になって撮影するというフォトグラファーヨシダナギさんのトークショー行ってきた【ひらつーレポ】

2016イベントレポート-3

イベントなどに実際に参加してご紹介する【ひらつーレポ



今回は、7月2日(土)に開催された、今話題のフォトグラファー ヨシダナギさんの出版記念トークショー「ヨシダ 枚方に立つ」を取材させてもらったので、一部を抜粋してレポートします!

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(会場の様子)

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開催場所は、枚方T-SITE3階蔦屋書店のイベントスペース。

▽最近テレビにもよく出演されているのでご存知の方もいらっしゃると思いますが、こちらがヨシダナギさん!
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ヨシダナギさんってどんな人?
1986年生まれの女性フォトグラファー。
幼少期からアフリカ人へ強烈な憧れを抱き、独学で写真を学び2009年単身アフリカへ渡航。少数民族の撮影を開始する。
裸族との距離を縮めて撮影すべく、自ら裸になったことなどが話題となり、TBS「クレイジージャーニー」や日本テレビ「 今夜くらべてみました 」などに出演するなど、最近話題となっています。
今回のイベントは、今年の3月に取材させてもらった代官山T-SITEから枚方T-SITEに来られた、旅コンシェルジュの中村さんと、アートコンシェルジュの祖父江(そふえ)さん共同企画のトークイベントです。

中村さん
(旅コンシェルジュの中村さん)

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大変人気で、30人の定員はあっという間に埋まったそう!

それでは、レポートして行きまーす!



はじめまして

旅のコンシェルジュ中村さん:ヨシダナギさん、ようこそ枚方へ!初めての枚方はどうですか?
 
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(△写真左の手前の男性が中村さん、その奥の女性が祖父江さん、写真右がヨシダナギさん。)

ヨシダナギさん:暑いです・・・(笑)

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中村さん:そうですよね(笑)ところでナギさんのお隣の男性はだれ?っていう方が多いと思うんですが・・・。

君野さん:ヨシダ制作委員会委員長の君野です。僕とヨシダは3年くらい前からの知り合いで、今はヨシダのいろんな仕事を手伝っています。今日は通訳もしていきますね(笑)じゃあ自己紹介からお願いします。

ナギさん

ヨシダナギと申します・・・

もうすぐ30になります・・・

しゃべるのが苦手です・・・

君野さん:・・・こんな感じで1時間半やっていきますので、お付き合いよろしくお願いします(笑)

(会場一同 笑)

13回も撮影に行ったエチオピアのこと
スリ族のこと

↓以下、君野さん中村さんからの質問は太字で、その下がヨシダナギさんの回答です。

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− ヨシダさんがアフリカの民族を撮り始めたきっかけはなんですか?

「5歳だったときにテレビで飛び跳ねてるアフリカの『マサイ族』を見てスゴく憧れて、これを職業だと思ってたんです。肌の色が違うけど、これを外国人だと思わなくて、私もいつかはこうなれると思ってたんですよね。

市役所の人(みたいな人)が20歳くらいになったら家にきて、いくつかの中から肌の色をどれかを選べて、どれかのボタンを押したらアフリカ人みたいになれる!って思ってたんです(笑)

でも大人になって彼らにはなれないってわかって、でも彼らへの憧れが消えず、アフリカに行って彼らの写真を撮るようになりました。」

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− 具体的にどういう人たちの写真を撮ってるんですか?

「基本的にはアフリカの少数民族と呼ばれる人たちを撮影しています。国で言えばエチオピアが多くて、もう13回くらい行ってますね。」

− なぜエチオピアが多いんですか?

「日本から時間的に一番行きやすくて、物価が安いので、滞在費が安い。そして少数民族がたくさんいるんです。それも、植民地化されていない(歴史的に支配されていない)ので、昔ながらの民族がいます。

あとはアフリカ人の多くはみんな自己PRがすごい人たちが多いんですけど(笑)、エチオピア人は割とシャイで、道を譲ってくれたりして優しいし、何となく日本人と気質が似ているんです。あと、美男美女が多い!」

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− アフリカの民族の中でもイチオシの民族はなんですか?

「エチオピアの南西部の南スーダンの国境のところにいる『スリ族』ですね。2012年に彼らの存在を知ってから、2年間ずっと調べていた民族です。なぜそんなに時間がかかったかというと、未だにエチオピア人でもよく知られていない珍しい民族なんです。

『スリ族』の人たちは、ケータイも、テレビも知らない。観光客もほぼ行かない場所にいるので、彼ら独自の生活がそのまま残っているんです。

私たちが日本から来たことを説明すると、『こいつ何言ってんだ?』って言われるんです。『日本って、ここから歩いて何時間?車で何時間?』と聞いてくるほど、外の知識が入ってこないところなんです。」

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− スリ族の特徴は何ですか?

「特徴は、メイクをしていることですね。
そこらへんに生えてる木の実とか葉っぱ、石灰岩とか赤土などを水で溶いて、肌にスタンプしています。

『引き算の美学』がわかってる民族なんです。」

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− メイクは日常的にしているもんなんですか?

「いいえ、日常からしてる人はほぼいないです。普段はすごく地味な感じです。

メイクをするのは、結婚式や満月の日のダンスパーティーのとき。あとはめちゃめちゃテンションが高い人は普通の日でもメイクしてる人もいます。そう言うときはごきげんな証拠(笑)」

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− みんなメイクが上手なんですか?また、自分でやってるんですか?

「いえ、ペイントがうまい下手はその人のセンスですね。年上の子が年下の子のメイクをやってあげていたり。撮影のときはうまい子にやってもらいます。上の写真だと、この写真の中の2人はすごくメイクが上手。

メイクとは少し話がそれますが、スリ族は世界一ファッショナブルでもあるのですが、肌に『3』っていうタトゥーが入ってる人たちがいるんです。

何の意味があるのか聞いてみたら、殺し屋一家のマークだったんです。

彼らスリ族は、複雑な感情を持ち合わせていないので、例えば自分たちの家畜を盗られたら、それだけですぐに相手を殺しにいってしまうんです。一応警察のような人もいるんですけど、人を殺すことを悪いことだと思っていないんですね。

見た目は妖精なんですが、中身は鬼になることがあるんです。

簡単に人を殺してしまうので、次に撮影で会いに行ったら(殺されて、または刑務所に入っていて)いないことが結構あるんです。」

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君野さん:ちょっと会場が暗い空気になっちゃいましたよ〜(苦笑)

2人のコンシェルジュが選んだ、ちょっと気になる写真

続いて、旅コンシェルジュの中村さんアートコンシェルジュの祖父江さんが事前にヨシダナギさんの作品の中から1枚ずつ気になる写真を選び、それについてヨシダナギさんにエピソードを語ってもらう!というコーナー。
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↓まずは奥のアートコンシェルジュの祖父江さんから。
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祖父江さんが選んだのはこちらの写真!
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(△大きな葉っぱに穴をあけてお面のように顔に付けている男の子の写真)

祖父江さん:まるで仮面舞踏会の仮面のような葉っぱを顔に付けていますね!よく見ると鼻の穴のところにも穴があいていてすごく凝ってるし、色は他の写真と比べてシンプルで主張が少ないんですが、面白い!何か深い意味がありそう!と思って、これを選びました。

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ナギさん
:あはは。これが選ばれましたか。

撮影のときって、1回で終わりではなくて何回か着替えて撮らせてもらうんです。それごとにお金を払って撮らせてもらってるんですけど。

でもめんどくさがりやの子やお金をほしがる子は、すぐに次を撮ってもらいたがるので、ちょっとだけ変えてまたすぐにやってくるんです。

この写真のときは、服装はそのままで葉っぱにテキトーに穴開けて、『これでいいしょ?』みたいな感じでテキトーに現れたときのしゃーなしの1枚の写真なんです(笑)

中村さん:それ聞かない方がよかったやつですね(笑)

ナギさん:みんなが勝手に深読みして考えてくれることが多いんですけど、結構そういう写真が多いです(笑)

↓続いて、中村さんが選んだのはこちらの写真!
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(△紫色の衣装をまとって、道の真ん中で堂々と立ちポーズを決める少年)

中村さん:なんでこの子こんなに堂々としているんだろう?っていうのが気になってこれにしました。

ちなみに、ナギさんはポージングの指示はされるんですよね?この『堂々さ』って、言われたところでそう簡単に出来るもんじゃないと思ったんですけど、どうなんですか?

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ナギさん:5人から10人ぐらいで並ばせてる写真は、私がディレクション(指示)してるんですけど、1人で写ってるは、大体そのまま(特に何も指示していない)ですよ。

私が写真撮るのを200人ぐらいがいろんなポーズをしながらアピールして待ってるんです。そして撮影の邪魔してくるんです、お金(撮影料)が欲しいから(笑)

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中村さん
:200人も待ってるんですか!!??

ナギさん:はい。でもその中でこの子はそんな群衆からちょっと離れた場所で、ポーズで立っていたのであえて撮りました。

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君野さん:最初の写真集に『スリコレクション』って付けたのは、『パリコレ(パリコレクション)』とかけてるんですが、というのは撮影現場のドタバタ感がスゴいからなんです。撮影のときは蹴落とし合いして泣いてる子とかもいるんですよ(笑)

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ナギさん:あとは子ども達が撮影のために花柄だったり、レンコン柄だったり、いろんな模様のメイクをしてくるんですけど、毎回気になって質問をしてたんです。『これにはどんな意味があるの?』って。

そしたら、『お前なんでいちいち意味を聞くんだ?めんどくさいんだけど。好きだからやってるだけ、それ以上でも以下でもないんだよ!特に意味なんかねぇ!そう言うところがキライ!』って言われたんです(笑)

それから何にも質問できなくなっちゃいました(笑)

「夢」はある?

中村さん:この写真集を見ていて、私たちは「アフリカ」っていろんな国があるのに、それをひとくくりにして考えてしまっているのではと気付かされ、それではいけない、と思いました。

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中村さん:子ども達に「夢」ってあるんですか?

ナギさん:彼らには、『夢』はないですね。

例えば、男の子は『スティックファイト』という過激な剣道みたいな儀式があって、それに勝ったものが好きな人と結婚できるっていうのがあるので、男の子はそれには勝ちたいという『夢』はあるんですけど、それ以外(いわゆる将来の夢)はないです。

というか、『夢』という概念そのものがないんです。『なるようにしかならないさ』みたいな考え方です。

中村さん: なるほど…世界を知らないからと言うか、例えば「パイロットを知らないのにパイロットになりたい」って思わないですもんね。

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君野さん:「勉強しないと夢ってないんだ」とはっとさせられた、ヨシダがエチオピアの子どもと心を通わせたエピソードがありましたね。
 
ナギさん:タジボって言う少年の話なんですが、エチオピアって子どもの物乞いがすごく多いんです。そのときも、「お金お金ー」って3時間ぐらい物乞いしてくる子達がいたんです。
 
でもそのときガイドに通訳してもらったらタジボは「すごいお金なくて辛い生活してるんだ」って言う話をしていて、「でも私も貧乏で、よくガイドさんにごちそうしてもらってる」って私が言ったら、しばらく考え込んで「きみも貧乏ならうちにおいで」と言って、食べ物を出してくれたんです。おなかいっぱい食べていいよって。

その姿勢に心を打たれてしまって、タジボに「今何がしたいの?」って聞いたら、「学校に行きたい、バスの運転手になりたいんだ」って言うんですね。なので、学校に通わせてあげる分のお金を帰りにお母さんに渡したんです。

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ナギさん:そして数年後にもう一度タジボを訪ねていったら、その後ちゃんと学校に通っていて、2年間ずっと英語の成績が一位だって言うんです。

そのときタジボに「今もバスの運転手になりたいの?」って聞いたら、「パイロットになりたいんだ!」って言うんです!

夢が大きくなってたんです。タジボの夢が大きくなっててすごく嬉しかったです。

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君野さん
:その話聞いたときに、人って勉強しないと夢って見られないんだ、って気付かされて鳥肌が立ったと言うか、人間ってそうやって大きくなっていくんだなと思いました。

何のために写真を撮るのか?

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中村さん
:聞きたかったことがあるんですが、ヨシダナギさんは、アフリカに仕事として写真を撮りに行ってるのでしょうか?それともヨシダナギとしていい写真が撮りたくて写真を撮りに行ってるんですか?

ナギさん:私は写真家になりたいって思ったことは一度もないんです。できるなら重いカメラは置いていきたい。

でも彼らのかっこよさを伝えるために、仕事として与えてもらったこの写真を撮る仕事をちゃんとしたい、と思っています。
ヨシダナギさんに質問!

最後に、参加者さんからの質問です。
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スリ族のお葬式ってどんな感じですか?

ナギさん:ウソ泣きをみんなするんです。ワーワーキーキー大声で叫んで、最後に誰かがバンっってライフル銃を空に向けて打って、終わる感じです。

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君野さん:あんまり面白くなくてすいません(笑)

アフリカの国の中で今までで一番印象に残ってる国はどこですか?

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ナギさん
:「ジプチ」ですね。

何にもないって聞いてはいたんですが、でも何かあるだろうと思って行ってみたら、本当になんにもない国だったんです。岩と木しかない!みたいな(笑)

それで、つまんないなぁと思っていたら、そこで出会った人に「何にもなくてつまんないだろう。でもこの何にもないところから、いかに楽しみを見つけるか。配られたカードで人間は生きていかないといけないんだ」と言われて、はっとさせられました。

それからはアフリカで自分で楽しみを探すようになりました。例えば、らくだの生肉が出たら美味しかろうがまずかろうが食べてみるんです。

食べてみたら、とってもおいしかった!

カメラは理解されているか?

ナギさん:植民地化されていた国や、観光客がよく来るところはわかっているのでカメラの説明は要らないです。でもカメラに慣れていないところはガイドに説明してもらいます。

君野さん:カメラ向けると「魂抜かれる」っていうところもまだあります。
アフリカでは黒魔術が残っているようなところもたくさんあるので、都心部でもカメラを向けると「撮るんじゃない!」と怒る人もいます。

日本国内でも写真は撮るんですか?

君野さん
:ビビっと来れば、日本人を撮ることもあります。
ヨシダナギさんの公式サイトにも日本人の写真が載っています。)

ナギさん:撮りたい人は、理想の男性のプロレスラーの蝶野さんや俳優の遠藤憲一さんとかですね。

中村さん:味がある人たちばかりですね(笑)

写真を撮らせてもらうのにいくらくらい払うんですか?

ナギさん:彼らは人を見て要求してくるんですが、はじめは1ショット500円ぐらいで吹っかけてきます。でもそれではお金がなくなるので、今は1ショット25円ぐらいで交渉しています。

「納得できないならあげない」って言ったら、『う〜〜〜でも欲しい!』って言って撮らせてくれます(笑)

彼らはお金を貯めて何がほしいかと言うと、牛がほしいんです。牛は自分たちで殺してまでは食べないんですが、プロポーズで使うんです。

ナギさんの撮られる写真は彩度が強めになっていると思うんですが、どのようにされてるんですか?

ナギさん:結構鮮やかな写真なので、これってどうされてるんですか?ってよく言われるんですが、写真はレタッチしています。

現場ではRAWデータで撮影して、日本に戻ってからパソコンで、まずLightroomというソフトで色付けして、そのあとPhotoshopで彩度やコントラストをあげて仕上げています。

日本にいる時はほぼパソコンでレタッチ作業をしていますね。

君野さん:ヨシダの写真で心がけていることは、カッコいいこと。

『写真』と言うよりは『作品』なので、『記録色』というよりは『記憶色』です。ヨシダの目にはこう見えてるって言うのに合わせれば、それは嘘ではないよね、と言うところでやっています。

最後に告知!

ナギさん:8月6日から東京で大きな写真展をやります。今回クレイジージャーニーで撮ってきた写真を展示しますので、よかったら来てくださいね。無料です!(笑)

また、今回出版されたヨシダナギさんの書籍は、もちろん枚方T-SITEで買うことが出来ます!見つけたらぜひ手に取ってみてくださいね。

〜おまけ〜
最後は参加者のみなさんと記念撮影がありました!
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以上、トークイベントの一部のレポートでした◎

初めてお会いしたヨシダナギさんは、話し方がゆっくりで優しい雰囲気なので、一見とてもアフリカに1人で飛び出して行くようには見えないのですが、お話を聴いているとご自身の中でしっかりした芯があって、怖いことにも動じない強さを持ったステキな女性でした。

また、今話題の人をどんどん枚方に招いてくれる枚方T-SITEのイベントのハイレベルさにも驚きです!これからもいろんなイベントが行われるのが楽しみですね

枚方T-SITEのイベント情報
は日々更新されていますので、「今回行きたかったのに逃した〜!」と言う方はマメにチェックしてみてはいかがでしょうか!

◆関連リンク 
ヨシダナギ(公式サイト)
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枚方T-SITE(公式サイト)

ライター:おさや@ひらつー おさや@ひらつー