枚方市駅前の活性化に布石を打った枚方T-SITE。その枚方T-SITEを手がけた株式会社ソウ・ツーが考える、枚方市駅周辺の可能性

枚方市駅周辺再整備インタビュー-タイトル
全7回にわたって、枚方市駅周辺再整備について、各関係団体のインタビュー記事をお届けしているシリーズ企画。

株式会社ソウ・ツー
第6回目の今回は枚方T-SITEを手がけた株式会社ソウ・ツーへうかがい、吉冨さん(写真左)と長田さん(写真右)にお話を聞いてきました。

枚方市駅前がどう変わるの?と言われ続けたT-SITE

― まず最初に株式会社ソウ・ツーについてご説明いただければと。

個人資産の管理運用を目的として、2002年4月に設立した会社であり、TSUTAYAを手がけるCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)とは関係会社です。

現在、「不動産事業」「店舗事業」「ライフスタイル事業」「T-SITE事業」の4事業本部制のもと、直接経営及び、インキュベーションを行っています。

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― 枚方T-SITEもその事業のひとつだということですね。

そうですね。不動産のプロフェッショナルである弊社が建物の所有・運営を行い、企画のプロフェッショナルであるCCCがコンテンツの企画・遂行を行っているという形です。

また、枚方T-SITEについては、所有者が複数おり、私たちは所有者代表という立場においても運営を行っています。

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枚方T-SITE

― 枚方市駅周辺にソウ・ツーが所有されている物件は枚方T-SITE以外にもあるんでしょうか?

HIRAKATA T-SITE ANNEXⅡ、そしてサンプラザ1号館にもHIRAKATA T-SITE ANNEX Ⅰが入っており、こちらは区分所有として保有をしています。あとは枚方市駅前、北側にある枚方デパートメントビル、南側にある枚方近畿ビルなどがあります。

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サンプラザ1号館に入っているHIRAKATA T-SITE ANNEX Ⅰ

― 2013年(平成25年)に枚方市駅周辺再整備ビジョン(→PDF)ができた当時はなかった枚方T-SITEが2016年(平成28年)にオープンし、枚方市駅周辺に活気が生まれたと思うのですが。

計画については、まずはここに来る人なり住んでいる人たちが「何を求めているか」ということを考えました。そのうえで、実現できる場として建物を計画しています。

例えば、枚方T-SITEを計画する際、枚方市駅周辺にいる人にアンケート調査を行いました。

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枚方市駅と枚方T-SITE

― 例えばどんな意見があったんでしょうか?

その当時は、「枚方市駅はさびれている」「友達を連れて行くようなお店がない」「友人・知人と一緒に遊ぶ所がない」などの意見が非常に多くありました。

通常このような調査は専門会社に委託して、そのレポートを関係者が見るというケースが多いのですが、私たちは自ら実施しています。

ネガティブな意見が多かったですが、よく話を聞いていくと、その言葉の裏側にはこうなってほしいというニュアンスも感じ取ることができ、生の意見をその人の温度感とともに直接ヒアリングできたことは枚方T-SITEの計画に大きく役に立ちました。

― 他にも意見はあったのですか。

枚方T-SITEをつくるという話についても「ホントにここにつくるの?」とよく聞かれましたね。

私たちはいろんな調査をしたうえで、マーケットは潤沢であり、求められる価値を提供できれば充分支持されると確信していました。

近鉄百貨店が閉店し、枚方市駅周辺にいわゆる商業施設、集客施設というものがほとんどない状態でした。もちろん近くにはビオルネもありますが、駅のキャパシティからすれば明らかに不足している状態でした。

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近鉄百貨店営業当時の枚方市駅南口駅前広場(近鉄百貨店枚方店が2012年2月末で閉店。ここ10年で売上高半減より)

当時は枚方市駅周辺を見ても、歩いている人があまりいない。そのような状態で枚方T-SITEを建てて本当にうまくいくのか…という危惧をもたれたことはごく自然な流れだと思います。

― 実際、枚方T-SITEがオープンしてどうだったのでしょうか。

私どもがプレミア世代と呼んでいる60歳以上の方々も来てくださっていますし、近隣に住まわれて子育てされている方、また20代の若い方も非常に多く、枚方T-SITEを利用してもらっています。

そういう幅広い層の方々、多感な世代の方々に来ていただける施設になったということで、魅力ある求められるものを提供すれば人は集まってくれるということがわかりました。

また、T-SITEを計画して調べていく中で、枚方市駅周辺には「埋もれている資源がいっぱいある」ということもわかりました。

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現在の枚方市駅南口駅前広場

― 例えばどんな資源でしょうか?

例えば、枚方市駅は10万人近い乗降客数があります。10万というのは非常に大きな数で、京阪本線でも3番目に多い乗降客数です。加えてバスの利用者も非常に多い。バスの利用者でだいたい4万人ぐらいいらっしゃいます。また、大阪や京都の中間に位置するベッドタウンでもあり、住宅地としての機能ももっています。

これだけ多くの電車やバスの利用者・居住者がいるにも関わらず、枚方市駅周辺があまり賑わっているとは言えない状況だというのは、非常に残念なところです。また、駅の近くには関西医大があり関西外大もあったりと、学生も非常に多い。

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枚方市駅周辺が街として成熟して、なかなか新しいものが入る余地が少なくなった側面もあると思います。ただ、これだけ多種多様な方がいるにも関わらず、そういった方々が過ごせて、楽しめるような場所がないというのはもったいない。

そういったいろんな要素を洗い出していくと、やはりT-SITEのような施設は求められていたんだと思います。

枚方T-SITEは、単にモノ売りの場とならないよう、居心地のいい空間を提供することを念頭に「街のリビングをつくる」ことをテーマとして計画しました。本を軸としたライフスタイルの提案を居心地のよい空間で受けることができます。その空間が、枚方市駅周辺に住んでいる方、来られる方に支持されてきたのかなと感じます。

― もともとの狙いとして、どこをターゲットにされていたんですか?

どこかに特化するというわけではなくて、全ての世代、若い多感な方から子育てされている方、時間とお金に余裕のあるプレミア世代の方まで、いろんな方々に来てもらいたい、利用してもらいたいという施設を目指していました。

実際にその通りになっているので、本当に喜ばしいことだと思っています。

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枚方T-SITE内の居心地のよい空間

― 枚方T-SITEの来館者数はいかがでしょうか?

私たちが思い描いていたとおりです。

もちろん、それだけの人が来るという裏付けのもと計画をしたのですが、こればかりはオープンしてみないと分からなかったので非常に喜ばしいことですし、良かったなと思っています。

市駅周辺の潜在的な需要を証明したT-SITE

― 枚方T-SITEオープン前日の内覧会で「半径2kmのお客様を呼ぶ施設」を目指すと言われていましたが、そのあたりはどうでしょうか?

1年に1回とか半年に1回、施設を利用する方もいると思いますし、それは大変ありがたいことです。ただ、まずは「日常使いしてもらえる場」になりたいと思っています。

ですので、近隣の方々が何気なしにいつでも通える、そういった施設になりたいと思っています。

― まさに「街のリビング」ですね。

枚方市駅周辺に潜在的な需要があることを、枚方T-SITEができて実際にお客様が来られているということで証明できたと言えるんじゃないでしょうか?

一定の支持をいただけたことはうれしい限りです。

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株式会社ソウ・ツーのオフィスに飾られている枚方T-SITEのイメージパース

ただ、私たちはT-SITEで終わりじゃなく、T-SITEを起点にして、そこから枚方市駅周辺全体を活性化できたらいいなと思っています。

枚方市は大阪府下で4番目に多い40万人を有しています。また、京阪本線でも3番目に多い乗降客数を誇る駅が枚方市駅となっています。

その枚方市駅に、今、充分に見合うだけのものが提供されているかとなると、決してそうではないと思っています。そうであれば、それに見合うようなものを提供すれば、より多くの方が来られると思っています。

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枚方市駅北口駅前広場

一方で、価値のあるものを提供しないと、枚方市駅周辺の価値はどんどん下がっていく。だからこそ、枚方市駅周辺の再整備を皆さんが期待して待っているのだろうと思います。しかし、見合うだけのものが提供されていかないと「もう枚方ええわ」「もう枚方無理や」と思われる可能性が非常に高いと思います。

例えば、引っ越しをすることになった場合に「枚方を選んでくれるのか・選んでくれないのか」ということが簡単な答えになると思います。

そこで他の街を選ぶとなれば、今、枚方市駅周辺にないものが選んだ街にはあって、明らかに魅力が劣っていたということなので。

当然、職場の位置などもありますが、そういうことを無視して考えた時に「枚方市駅周辺の魅力として発信できるものは何だろう」というところに辿り着くのではないでしょうか。

枚方市駅周辺についていろいろと調べていくと、自然も結構近くにあるんですね。例えば淀川だって近くにあるし、河川公園もある。

― 言われてみればそうですね。

淀川沿いに河川公園がいくつかありますが、駅から徒歩10分圏内に位置する河川公園というのは、実はほとんど存在しないんですね。しかもあれだけ立派な河川敷の空間というのはとても価値の高いものだと思っています。

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淀川河川公園枚方地区

当然現在も利用している人はいますが、もっと活かされてもいいかと思っています。魅力がまだまだ埋もれている状況がもったいないと思います。

― いかに連動させていくかが大切だと。

そうですね。まずは枚方市駅を中心に変えていくことができれば、枚方の魅力がガラッと変わると思います。

― そうなると、その影響で周辺にもどんどんいい影響が及ぶと?

そうですね。枚方市駅周辺が変われば、周りも変わっていくと思います。

そうすれば、京阪間で住まいを探されている方が「枚方市駅周辺に住みたい!」と選ばれる街になるのではないでしょうか。またそうしていく必要があると思います。

休みの日に「どこに行こう?」となった時に「今日は枚方市駅に行こう!」となってもらいたいですね。

求められる価値の提供

― 色々とインタビューさせていただくと、枚方市駅周辺の再整備については京阪さんとソウ・ツーさんの名前がよく上がります。

枚方市駅周辺は権利関係がいろいろとあるので、枚方市とも協力しあい、私たちも土地を持っているので、京阪さんともうまく連動しながら進めていければと思っています。枚方市駅周辺活性化協議会でもお話しています。

単純に「新しい建物を建てました」というだけで、よくあるハコモノ行政みたいな形になっていくことは避けるべきだと思っています。もちろん建物というのは不可欠な要素となりますが、まず「何が求められているのか」「どのような魅力が提供できるのか」というところを洗い出して、求められるものをつくりあげていくべきです。

T-SITEはそういう風につくりあげてきました。

建物はガラス張りの都会的な洗練された造りにするなど、すごくこだわりました。またコンテンツの部分では各テナントさんにもいろいろと創意工夫をしてもらっていますし、テナントさんの中には、T-SITEだからということで新しい提案をして頂いたところもあります。

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オープン直前の頃の枚方T-SITE

― 例えばどのテナントさんでしょうか?

銀行については、上層階の店舗という新しい試みです。

今回銀行2行様に地上階ではなく、上層階に出店していただいています。通常銀行というのは1階に店舗があることが当たり前でした。でも、私たちが商業施設をつくる上において1階に銀行が入ると、銀行は一般的には昼の3時で閉店してしまいます。そして土日が休みになります。

駅前の賑わいを目的にしている施設において、1階が昼の3時に閉まる、夕方や夜は真っ暗になるというのは、駅前の顔としてどうなのかという疑問がありました。商業施設である以上、やはり土日に多くの方に来てもらって、どれだけ楽しみを提供できるかというところになるのですが、1階が銀行だと土日は全部クローズとなってしまいます。

ただ、街の機能として銀行はやはり不可欠なサービスであり、ないと困るものです。私たちも銀行のサービスを重要な価値の1つだと考えているのでどうにか提供したい。そこで私たちなりに、多くの人が最も利用している銀行の業務は何だろう、と考えました。

― どのように考えられたのでしょうか?

あくまで私たちが推察したものですが、銀行を利用する人は大きく2つ分かれると考えました。1つはATMを日常的に早く使いたい人。もうひとつは家の購入に関する住宅ローンの相談や、投資信託等の金融商品の相談などを、時間をかけてコンサルティングして欲しい人。この2つに大きく分かれるのではと考えました。

銀行としても、すぐにサービスを提供したい方と、時間をかけてゆっくり接客したい方の2つに分かれるだろうと。ということであれば、銀行の機能を2つに分けたらいいのではないかという1つの仮説を立て、利用頻度の高いATMは低層階に置き、時間をかけてゆっくりコンサルティングしたい方は上層階でゆったりとくつろいでいただく。

そのようにするのがいいんじゃないんだろうかという話を銀行にさせてもらったんです。

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そのなかで、りそな銀行さんはさらに、そこで待っていただいている方も居心地がよく感じられるような今までの銀行の概念を覆すような店舗づくりをしたいとの要望を受け、私たちも一緒に店舗づくりの計画に携わりました。

今までの銀行にはない、日本でも画期的な事例だと思います。

― 1つの仮説が証明されたということですね。

また、りそなさんは一般的な銀行とは異なり年中無休で(※1)通常15時になったら閉まるところを19時まで営業されていますし、土日も営業されています(※2)。枚方T-SITEに合わせて店舗もサービスも変えてもらっています。

(※1)年末年始・ゴールデンウィークは休業
(※2)平日17時以降、および土・日・祝日は、各種相談、契約のみで一般の窓口業務は取扱なし。

― T-SITEのそういったアプローチは、知らない方もたくさんいらっしゃるでしょうね。

そうかもしれませんね(笑)。こういったアプローチや手法を駅周辺の再整備についても活かせれば面白いかもしれませんね。

― 現在の枚方市駅周辺を率直にどう思われますか? 

T-SITEができ活気はでていますが、枚方市駅周辺には、まだまだ可能性は眠っていると感じます。

例えば、現在の枚方市駅前のロータリーの待機タクシーの混雑や、自家用車での乗り降りの不便さなどを、どううまく円滑に交通誘導していくのかを考えていくと、駅前を全体的に整理していかないといけない部分というのが多数あると思います。

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株式会社ソウ・ツーのエントランスにある枚方市駅周辺の地図

ただ、これは1年や2年という短期的なものではなく、枚方市が主体となる部分なので、まず枚方市に全体のグランドデザインを描いてもらって、そこで私たちも意見をいろいろ述べさせてもらって、魅力ある街に仕上げていくという流れになると思います。

私たちも枚方市に対して、実際に枚方市駅前で商業施設の運営を行う立場として「こういう要望が多くあります」とか「こうすればお客さんは喜びます」などの提案を行っています。そのような案も含め官民が一体となって考えていく必要があると思います。

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夜の枚方T-SITE

枚方でT-SITEをやるという意味

― 枚方はTSUTAYA創業の地であり「故郷に錦を飾る」という意味合いでも作られたと思うのですが。

単に創業の地だから枚方にT-SITEという施設を計画した訳ではなく、きちんとマーケットを調べた上で、この場所であればT-SITEが受け入れられるという判断をして、T-SITEを建築し運営しています。

― それだけ枚方市駅周辺にポテンシャルと可能性があると。

日本全国にたくさんある中核都市は、今、どっちつかずの中途半端な状況になっている所が多いと思います。

「昔は良かったけれど今は廃れている」というイメージの場所で、どういう風に手を打ったらいいのかわからない、どうにかしたいけれどやり方がわからないというところは日本中にたくさんあります。

そういう所に向けて、企画提案をしたいという部分もありました。


枚方市駅周辺というのもまさにそのような部分があり、乗降客数は多く、少し前にはデパートも数店舗あり、中核都市としては非常に優れていた街ではあったもの、デパートが1つなくなり2つなくなり、駅を下りてパッと周辺を見回すと老朽化した建物が目立っているというのが現状となっています。

新しいものが良くて今までのものがダメだという訳ではありません。ただ、枚方市駅の人たちが飽きてしまった部分はあると思うんです。

そういった所に、きっちりと価値があるものを提供すればこれだけ変わるというところを、1つ提案してみたいという想いがありました。

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現在の枚方T-SITE

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枚方T-SITE4階の吹き抜け空間

― 先ほど出てきた周辺との連動という部分で、京阪さんについてはどう思われますか?

現在、京阪沿線には様々な個性ある駅があり、今後もより一層に魅力的な沿線になっていくと思っています。今回の枚方市駅のリニューアルについて、枚方市駅は京阪沿線でも基幹となる駅でもあり、非常にうれしく思っています。

ただ、駅周辺という観点でみた場合、まだ検討すべき部分もあると思っています。

駅から下りた風景は、その街の顔だと思います。その街の顔が、T-SITEはできたものの全体で言うと古くなった建物が多く、視線を下げればロータリーにバスとタクシーが混雑しているシーンが目に入ってくる。

この現状で「ここいいよね」「この場所を友達に紹介したいよね」と思えるかと言うと、決してまだその状態ではないと思います。

駅前をどうしていくかというのは、現在の形のまま少しずつ変えていくのもひとつだとは思うんですが、やはり枚方市が都市計画として指針を示すことがベターではないかと思います。

― 枚方市が出しているビジョンに関してはどう思われていますか?

私たちから、いろいろな提案をしています。それをどれだけうまく具現化してくれるのかというところに期待しています。

― 枚方市がどう期待に応えるかも楽しみなところですね。

私たちでいうと「顧客価値」と呼んでいるもの、行政からすればどのような言い方をするのか分からないですが「市民価値」と言うとすれば、その「市民価値」をどう提供していくのかをまず考えて、そこから派生して「じゃあこれを建てよう」だとか「ここに施設を建てるのやめよう」と考えるべきだと思います。

考えの起点として全部「市民価値」から派生していかないといけないと思います。そして先ほど話した通り、枚方市駅周辺には、市民が喜びそうな埋もれた魅力が多々あると思います。

― 「市民価値」をうまく提供することが重要だということですね。ところで、T-SITEの建物自体のコンセプトはどういうものなんでしょう?

建物のコンセプトとして、透明感をもたせ「街のリビング」として、内部の様子をうかがうことができるようにしています。施設の中を行き交う人の様子、賑わいを外に伝えることにより、その雰囲気を外にも派生させる、中と外が連続して繋がることを目的にデザインしています。

また建物全体のデザインとしては、枚方に住む人々が自慢できるものにすることを目指しました。この建物が「シビックプライド」の1つでありたいと強く思っています。

枚方のポテンシャル、私たちが枚方でやりたいこと、そしてシビックプライドを通して考えた結果、この建物は決して背伸びしたものではなくて、「これこそが枚方にふさわしい」と考え、建築を行っています。

― 「これこそが枚方にふさわしい」…これは、枚方市民にとって非常に嬉しい言葉だと思います。

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枚方T-SITE建築中に実際に張り出されていたイメージパース(近鉄百貨店跡地にできる新商業施設の完成イメージ図がたくさん貼りだされてる より

枚方の価値を活かすキッカケ

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株式会社ソウ・ツーのエントランスにある壁画

― ソウ・ツーとして再整備への力の入れ具合は、星5つで言うとどのくらいでしょうか?

星5つで言うと…それはもう、星10個です。(笑)

枚方市駅周辺にはそれだけの価値があると思っていますし、その価値をまだまだ使いきれていないと考えています。そして、だからこれからが面白い。

京阪さんによって枚方市駅がリニューアルされればもっと便利になって、価値が高くなると思いますし、近くに大学もあるので大学と連動したイベントなども、もっと枚方市駅周辺で行ったり、関西医科大学附属病院ともどう連動していくかという部分もあるかと思います。

先程お話した自然という部分では、河川敷にあれだけの空間があって、休みの日はサッカーや野球などをしてみなさん賑やかに過ごされていますし、そういった場とも連動して考えていくと、枚方でしか楽しめない価値は非常に高いと思います。

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関西医科大学附属病院と関西医科大学(画像提供:関西医科大学)

都市の中には、若い人が入ってこないというケースもありますが、枚方は関西医大、関西外大をはじめ大学が多いので若い方々も非常に多いので、そういった意味では非常に活気のある面白い街だと思っていますが、それがまだ活かされていないと思います。

これらの要素をうまくリンクさせるためには、やっぱり何が必要なのかをまず考えて、そこからある程度の環境、インフラを駅周辺に揃えていかないと、うまく人が回遊しないと思います。

― 駅周辺のインフラの部分と少し関連させると、枚方T-SITEの自転車置場は面白い試みでしたよね?

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枚方T-SITEにある屋上駐輪場の自転車用入口(枚方T-SITEに世界初の屋上駐輪場ができるみたい より)

T-SITEの屋上駐輪場については、駅周辺の景観というところを考えた時に、駅へはどうしても自転車で来る人もいます。ただ、自転車で来ると必ず周辺に違法駐輪が出てきてしまう。

私たちは空間や風景というところに非常にこだわっていて、空間・風景のいいところが、居心地の良さにつながると考えています。

そこで、駅前に自転車がズラーッと乱雑に置かれている風景を想像した場合、その風景が素敵かどうかを考えると「それは違うよね」と。であれば、素敵と思えるような風景を創ることを目的として計画をしました。

その中でいろいろと検証して、自転車置場を施設の屋上に持っていけばいいのではと考え、機械式にすることにして機器メーカーさんと密に打ち合わせをして形にしてゆきました。

日本でも有数の機械式駐輪場メーカーさんですが、機器メーカーとしても、自転車の収納は地下にすることが常識らしく、屋上に収納することは今までに例がないとのことでした。

― スムーズにいった訳ではないんですね。

ただ、お互いにいいものを提供したいという気持ちは同じでしたので、最終的には実現することができました。

私たちは日本初だと思っていたのですが、後から聞いところ「世界初」とのことでした。(笑)

― 駐輪場1つにしても、このようなアプローチがあったんですね。

枚方T-SITEの完成当時は、外観のインパクトに目が行きがちでしたが、改めて別の視点からT-SITEを見ると、また違った面白さがありますね。

そうかもしれませんね。先ほど出てきた銀行のATMも、枚方市駅からの歩道橋が3階のデッキでつながっていて、利用される方も非常に多いので、ATMは1階だけではなく3階にも設置していたり…と日常に使っていただくための工夫をしています。

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枚方T-SITEの3階にもあるATM

― パッと見るとT-SITEだけ全然違うものができたように見えますが、さんぷら座3号館との連絡橋や歩道橋との接続なども含め、もともとあった既存の設備や施設のことも考えられているんですね。

さんぷら座3号館との連絡橋に関しても、どのように人を回遊させていくかという点で、枚方T-SITEに来ていただいた方にさんぷら座3号館も一緒に周ってもらうという連動性のところで考えると、当初よりうまく活用するべきだと考えていました。

枚方T-SITE開業後、T-SITEの利用者の方が連絡橋を通りさんぷらざ3号館にも回遊して店舗を利用しているということを聞きました。非常に嬉しいことだと思います。今後はこの回遊の輪をもっともっと広げて、枚方市駅全体を回遊してもらえるようになれば、市駅周辺の価値っていうのはすごく上がると思います。

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リニューアル直後のさんぷら座3号館

T-SITEが竣工した後に、さんぷら座3号館が外壁塗装をするときに、枚方T-SITEの色と合わせて塗装してくれました。また、ロゴも白色にして「SUN PLAZA」に変更されたのは、T-SITEに合わせたいという意向があったという風に聞いています。

周辺施設のご協力も含め、まちの景観の一体感というところにおいて非常によい事例ではないでしょうか。

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リニューアル後のさんぷら座ロゴ

― 枚方T-SITEは、枚方市駅周辺再整備のキッカケとも言えますね。

起点になり、そこから広げられればと思っています。

枚方T-SITEをきっかけにして枚方市駅周辺を回遊してもらうということが、私たちが考えている枚方市駅周辺の活性化につながると考えていますので、その視点で行政とも話をしていきたいと思っています。

どうすれば枚方市駅周辺の価値が上がるのか。

実際に駅前の施設を運営している私たちならではの意見や、実際お客様はこう考えてますよ、こうなれば便利だっておっしゃっていますよ、という声などを提案していきたい思っています。

― 枚方の街は変わるでしょうか?

これだけの魅力があって、変わらないわけがない。
むしろこれからの方が、もっと楽しみです。(笑)

(了)


以上、枚方市駅周辺再整備について、株式会社ソウ・ツーの吉冨さんと長田さんにお話をうかがいました。