

こんにちは!今回もインタビュアーは子育てしながら働きやすい環境づくりをしている、株式会社ママノテのりさです!
「枚方この人インタビュー」は、枚方市民や枚方で活動する人をインタビューし、聞き手であるインタビュアーは毎回異なる人選になるというコーナー。その人に興味がある人や専門家が担当する予定です。
本日のゲストは「国際行政書士」として枚方を拠点に活動されている川添賢史先生。
外国人のビザ申請や在留手続きをサポートし、異なる文化を持つ人々が安心して日本で暮らせるよう、日々奔走されています。
さらに、合同会社グローカリンクの代表として、多文化共生のためのコンサルティングや研修も行い、地域社会と外国人をつなぐ架け橋のような存在です。
そんな川添先生の原点は、高校時代のアメリカ留学で感じた「自分を大切にしながら、相手を尊重する」文化への衝撃。そして、大学時代に参加した「東南アジア青年の船」での経験が、「多様な価値観が交わることで、新しい可能性が生まれる」ことを強く実感させてくれたといいます。
また、川添先生はマーケティングにも精通しており、行政書士としては珍しく、早くからGoogle広告やSNSを活用した集客に取り組まれていました。
人と人のご縁を大切にしながら、新しい手法を柔軟に取り入れる姿勢もまた、先生の魅力のひとつです。
「ビザの手続きはゴールではなく、あくまでスタート。その先の暮らしや仕事が豊かになるようにサポートしたい。」
そう語る川添先生の温かな想いに触れながら、これまでの歩みや、これから目指す未来についてお話を伺っていきます。
それでは、インタビューをお楽しみください!

こんにちは。よろしくお願いします!

先生は行政書士川添国際法務事務所の代表であり、合同会社グローカリンクの代表社員でもいらっしゃいますね。実は私も会社設立の際にサポートしていただきました!

そうでしたね!お手伝いできて光栄でした。

ありがとうございます!今日は先生の生い立ちからお仕事のこだわり、今後の展望までたっぷりお聞きしたいと思います。よろしくお願いします!

引っ込み思案で言いたいことが言えない幼少期でした

先生はもともと人前に出るのが得意だったのですか?

いえ、むしろ真逆でした。
小さい頃は言いたいこともハッキリ言えない、自分を出せない、引っ込み思案タイプでした。
言いたいことを言えず遠慮するタイプなのに、逆に意見を言うと浮いてしまったり(笑)
先生からは「もっと前に、積極的に出なさい」と言われ続けていました。
いわゆる「いい子」タイプで、できるだけ迷惑をかけないように小さいながらに気を遣い、子どもらしくはじけたりすることはなかったですね。
生まれも育ちも枚方。
小学校時代がそのような感じでしたので、もっと前に出て積極的になろうと思い
中学校は生徒会会長をしたり、陸上部の部長をしたりと頑張ったのですが
それはそれで遠い人みたいな…距離感の取りにくい人みたいになってしまいました!(笑)
学校生活って難しいですよね。

節目となる高校1年生で1年間のアメリカ留学へ

そんな先生の価値観が大きく変わったのが、高校1年生のアメリカ留学だったとか。

はい。そこで「自分をしっかり持ちながら、相手を尊重する文化」に衝撃を受けました。
日本では「周りに合わせること」が重視されがちですが、アメリカでは「自分の意見をしっかり持ちつつ、相手を尊重する」ことが当たり前。それがすごく魅力的でした。
この経験が、異文化理解への関心につながり、今の仕事の原点になったと思います。
日本とは違って自分に自信を持つ・自分軸を持つ、だけども相手を尊重している、異文化理解・多文化共生はとても興味が湧きました。
それまで自分の表現の仕方がわからなかったこともあり、パズルがピタっと揃ったようでした。
アメリカ留学のきっかけは英語が好きだったことと中学3年生で交流キャンプに行ったことです。
その交流キャンプを主催していた会社が留学斡旋しており、チャレンジしたいと思いました。

国際社会・異文化理解の世界に一直線

それが大学進学の方向性にも影響したのですね?

そうですね。大学では国際関係学を専攻しました。
異なる文化で一緒に生きるとはどのようなことなのか、ということに自分は興味があると気づき一直線でした。しかし何故か商社・外交官・国連など大きな世界を駆け巡ることに興味はなく、地元でいろんな文化をもっている人をサポートする仕事がしたい、地域に根差した活動をしたいと感じているときに行政書士という仕事を知りました。
さらに、大学時代に内閣府主催の「東南アジア青年の船*」に参加したことが決定的な転機になりました。
東南アジア各国から各30名ずつ約200名が乗船し2ヶ月間共に過ごします。船上でディスカッションし、自分とは全く違う文化をそこで知ることができました。とても刺激的で楽しかったのでそれを仕事にしたいと思ったことがきっかけです。
*東南アジア青年の船(内閣府HPより)


行政書士とは行政の手続きを通じて許可をとるお仕事です。
日本人だとあまり不便に感じることは無いかもしれませんが、外国人の方は日本に住むことにビザという許可が必要なのです。
結婚するとき・自動車免許を取るとき生活の様々なシーンで必要なことが発生するのでその許可取得のサポートを行っています。

困難その1 社会人経験が無いままスタートアップ

大学卒業後、すぐに起業されたのですよね?

はい。でも、社会人経験ゼロのままだったので、最初は何をすればいいのか全く分かりませんでした。
2003年 立命館大学国際関係学部卒業
2004年 神戸大学大学院法学研究科(国際取引法専攻)
2006年 立命館大学法科大学院卒業(法務博士)
2008年 行政書士川添国際法務事務所開業

いろいろ本を読んだり地域の人に会ったりして知識と人脈を広げました。
北大阪商工会議所や、枚方青年会議所JCに入ってどんどん人の輪を広げていくなかでとにかく名刺を渡して自分を知ってもらい、そして相手を知る努力をしていました。
すると社長さんや事業をしている方々が何に関心があるのか、何に困っているのかということがだんだんわかるようになってきました。人の採用のこと・事業をどのように大きくするかなど、考え方の部分を知るようになりました。自分の知らない世界を知るのは楽しく、いろんな勉強会に参加したり、読書会を主催し好きな本を紹介しあう朝活なども開催したり、ご縁を広げていましたね。
これがサラリーマン・自営業・主婦など多種多様な方が参加してくれていて楽しかったですよ。



実は敏腕マーケッター 行政書士の枠を超えた集客戦略

先生、行政書士の枠を超えてマーケティングもかなり研究されていますよね?

そうですね(笑)
多分行政書士としては早い段階でインターネットマーケティング、インターネット広告、Google広告・Yahoo!広告・SNS広告・キーワード検索に予算をかけて広告宣伝による集客を行っていました。
当時、行政書士でネット広告を活用している人はほとんどいなかったので、先行者利益がありました。
みんなどんなキーワードを検索しているのか、どの商圏でどれ位の費用をかけると費用対効果があがるのかを細かく数字を出して分析して調べていきます。
例えば「ビザ」というワードに広告をかけ、広告したものを検証しながらネットマーケティングしていました。今はAIで自動でGoogle側から提案してくれるのでそのような細かい作業をすることはなく手間もかからなくなりましたね。
起業初期は月20万円ほどかけていました。今はネット広告の競合が増えてきたのでSNSの方に移行していますね。
困っていることに対して検索して知ってもらい、とにかく人と会って相談を受けています。

困難その2 コロナのときは本当に大変でしたね

コロナの影響は大きかったですか?

はい。外国人の入国制限がかかり、業務がストップしました。
起業したときも大変でしたがコロナのときも飛行機が飛ばず外国人入国NGとなり、事業としては大変でした。
その当時は起業して10年くらい経っていましたので、それまでサポートさせていただいたご縁のある既に日本にいる外国人のケア・補助金サポートなどに注力しました。
例えば会社を解雇された場合、基本的には帰国しないといけないのですが、その当時はできないので半年ずつ延長するなど工夫をしてケアすることに専念していました。
小規模な事務所なので時代に合わせて方向転換していく姿勢は大切にしています。
ビジョン・ミッション・バリュー

お仕事で大切にしていることを教えてください。

ちょうど最近人に伝えるためには言語化しなくてはと思って作ったのがこちらです。

▶ビジョン
国籍・年齢・性別・障害の有無などに関わらず、ともに学び働き生きることのできる多様性あふれる豊かな社会
▶ミッション
「異質×対話=価値創造」私たちは、多様性の価値を信じ、互いの違いを尊重しつつ対話を進め
誰もが豊かに暮らせる多文化共生社会を創ります。
▶バリュー
多様性、公正性、包摂性 More Essential, More Critical

文字にすると少し抽象的ですが
外国人が日本にくると制約が沢山あります。ビザ・自動車の免許・補助金など許可が必要なことから、そもそも言っていることが伝わらない、手続きの仕方がわからない、子どもが先生の言うことを理解できないなど…本当に様々な困難があるのです。
そんななかでより生活しやすい・仕事がしやすいことへの橋渡しとして私たちは存在していますし、それでトラブルや犯罪が減り、地域の安全にも繋がることで貢献していきたいと考えています。
翻訳やコンサルティング、セミナーもしているので行政書士業以外はこちらの合同会社グローカリンクでお受けしています。グローバル×ローカル(地域)を繋ぐ(リンクする)という意味がこめられています。


先生の趣味は何ですか?

趣味は読書と海外旅行ですね。
最近のおすすめ本はこちら➡外国人労働者・移民・難民ってだれのこと? (著)内藤正典
外国人労働者・移民・難民ってだれのこと? | 内藤 正典 |本 | 通販 | Amazon
人口減少や少子高齢化で、日本で働いたり生活する外国人の数はこれからさらに増えていきます。20年近く日本にくる外国人の生活や手続きのサポートをしていて、改めて「学び直し」をしたいと思い、この春から大学院で授業をとって勉強しはじめました。いろんな文化をもつ人が一緒に暮らしていくことはたくさんの課題や問題が必ずでてきますが、どうやってそれを乗り越えていくかが研究テーマです。
この本は、外国人とか移民について身近にとてもわかりやすく書かれているので、考えるきっかけになると思いますので、オススメです。
低賃金で働いている海外の方の雇用改善や継続的に経営するためにどうすればいいかといった書籍を読んだり、そのようなことを考えている人に会いに行ってみたり、それが趣味に近いですね。
海外旅行に行くのも好きなのですが、旅行先でも本を読んでいるタイプです(笑)
好奇心が強い方なので、行ったことのない国には行きたいですし、いろんな人に会うことが好きです。
東南アジア・モンゴル・台湾などアジア圏が好きですね。顔は似ているけど全然考え方が違っていたり、生活スタイルが違ったりということを知るのが好きです。
昔から「本・人・場所」を変えるとインスピレーションがうまれると言いますよね。


好きな言葉や座右の銘を教えてください

最近は「多様性」がキーワード
昔から好きなことは「熟慮断行」しっかり考えてやるときはやるという意味です。
考えるだけでもダメですし、考えず行動することも良くない。
私自身がいつも心がけている言葉ですね。


枚方で好きな場所はどこですか?

T-SITEです。本も好きですし、開放的で気持ちの良い空間ですよね。


あと山田池公園は昔よく走っていました。家族でBBQや犬の散歩にも最高です。

今後は点と点を繋ぐ多様性コミュニティをつくります

最後に、今後の目標を教えてください!

外国人の方が「ビザを取得して終わり」ではなく、日本で安心して生活し、幸せに過ごせるよう支えるコミュニティを作りたいですね。また、日本人と外国人がもっと気軽に交流できる場を増やし、多文化共生を実現したいと思っています。
行政書士の仕事は「点」ですが、その前後のサポートまで含めて「線」にしたいです。
例えば起業する際にライセンスを取ることは行政書士のお仕事なのですが、その前後にしっかり事業計画を立てたり、売上をあげたり事業規模を拡大していくためのプロセスがありますよね。その前後の大切な部分に対しても価値提供ができるように、コンサルティングやセミナー業務のために別会社である合同会社グローカリンクを立ち上げました。


外国人の方のサポートに関しても同じで、日本に来るためのビザを取るお手伝いは点ですが、その前後として日本に来て、きちんと生活していけるのか、幸せに過ごせるのかというところまで関わって安心を作れるようコミュニティ作りをしていこうと考えています。
外国人の方で孤立していたり、分断して日本人とは話さないとか仕事と家の往復しかない状況だと、何かあったときにトラブルになりかねないですよね。
常日頃からコミュケーションができたり、何かあったときに気軽に相談できたりと、居場所に感じてもらえるコミュニティにしたいと思います。異文化交流の場はもちろんですが、外国人の方に関わらず世代間・性別・職業・働き方もいろんな方がいる本当の「多様性」を感じる場所を作っていきます。
こちらのFacebookイベントページにて枚方での地域交流や国際交流のイベントもときどきやっていますので、ぜひフォローしてください。


「ビザの手続きはゴールではなく、あくまでスタート」
川添先生のこの言葉は、制度や手続きの先にある「人の暮らし」へのまなざしを感じさせます。
「違いを受け入れ、共に生きる」ことの大切さを改めて感じさせられました。
枚方という街が、さまざまな背景を持つ人々にとって、もっと安心して暮らせる場所になるように。私も今日からできる一歩を踏み出してみたくなる、そんなインタビューでした。
川添先生、本当にありがとうございました。
今後も「枚方この人インタビュー」では、地元社長さん・理事長、起業家・経営者・個人事業をしている方々などなど、「なんでこの人はこんなに素敵なのだろう」という人を見つけてその根源・魅力・秘訣を沢山の方にお伝えしていきたいと思います。
自薦他薦問いませんので、インタビューされたい!という方はこちら(枚方この人インタビュー専用LINEオフィシャル)までご連絡くださいませ♪
枚方在住でなくても枚方にご縁がある方でしたらオッケーです。
最後までお読みくださりありがとうございます。
また次回をお楽しみにしてくださいね♪